大手建築の監督も唯の人でした。

大手ゼネコンの建設現場で設備の仕事をしています。
六本木の在る現場で作業をしていたのですが、大便器や小便器、手洗いなど全てが外国製品で取り付け方も日本の物と違い説明書を見ながら取り付ける物ばかりでした。これらの器具を付ける前には当然配管しなくては成りません。全ての工事が約1年半程の工事でした。

 器具を取り付けるのは全てが仕上がってからの工事で、仕上がる前の配管工事や段取りが大変なのが設備工事です。図面と言う物が在り、此の図面に基づいて作業をして行くのですが、実際に図面と現地では数ミリから数センチ程ずれている事が在ります。衛生陶器を付けるのに此の数ミリのずれが後々大変な事になり付かない事も在ります。その時も外国製の洗面器の蛇口の位置を出して配管を仕様としていたのですが、図面と現地の壁の位置が僅かにずれていて困っていました。

某大手ゼネコンの監督が来たので、ここに付く物を説明してどうするのかを聴きました。すると「此処はこうなるので」と、説明して貰えたので、それに基づいて施工しました。何日かしてその場所もすっかり仕上がっていて全て大理石でした。すると問題発生で監督が言っていたのと全く壁の位置が違って居たのです。




すでに大理石が張られ直し様がないのですが、治さない限り蛇口は付きません。
困っていた時に例の監督が入って来ました。
「あなたの言った通りに配管をしたら全く合わない」と言いました。すると「そんなこと言って居ない」と言い出しました。「えっ、そんな」、次の監督の言葉に完全に頭にきてしまいました。こんなに仕上がっているのに如何するつもりだ、「あなたがここは、こうだと言ったんじゃないんですか」「そんなことは言って居ない」、ふざけるな、です。後は言った言わないの喧嘩になってしまいました。

 2日掛けて少しづつ治して行き何とかつける事が出来ましたが、その作業中に例の監督が来て、「今日でこの現場は終わりで他の現場に行きます、すいませんでした、又、どこかの現場で会ったら宜しくお願いします」と言ってその場を離れて行きました。苦労をして直している事を分かっていたのです。

大手のゼネコンの監督としてプライドが在り間違えたとは認めたくなかったのでしょう。あれだけやり合った監督は初めてで、普通ならば現場を出入り禁止になっても仕方の無い程怒鳴ってしまいました。最後に来た時には別人でしたが大手ゼネコンの監督も普通の人なのだという事が分かりました。
大手にもランクが在ると思いますが、ここでの監督は最大手です。